クラシック・ミニやローバー・ミニといった愛称で親しまれ、現在でも数多くのファンを獲得しているオリジナル・ミニは、独特の愛らしいスタイルを変えることなく1959年から2000年まで生産された。BMW(クラシック・ミニを生産していたローバーを1994年に買収し、傘下とした)からリリースされた新生MINIは、現代の交通環境にマッチした高度なエンジニアリングと自動車史にその名を遺す世界的名車の雰囲気を的確に受け継いでいたが、この、最新のテクノロジーと独自のノスタルジーが見事に融合した新世代のプレミアム・コンパクト=MINIは瞬く間に人気車となった。
2001年の初夏からヨーロッパ主要国での発売が開始されたMINIは、日本においては同年10月の第35回 東京モーターショーにおいて初めて公開され、2002年3月2日(ミニの日)から晴れてオーナーとなった熱心なファンのもとへのデリバリーがスタートした。デビュー当初はハッチバックのみという車種構成だったが、2004年にMINIシリーズ初のバリエーション・モデルであるコンバーチブルが追加設定された。
MINIのロングホイールベース版(ハッチバック比で全長が約240mm、ホイールベースが80mm延長されている)として2008年にラインナップに加わった『クラブマン』は、ハッチバック、コンバーチブルに次ぐ第3のMINIとして登場した。クラシック・ミニ時代のモーリス・ミニ・トラベラーやオースチン・セブン・カントリーマンの世界観を継承しており、胴長のプロポーションや観音開きのリアドアなどを外観上の特徴としている。また、運転席側にも観音開きの“クラブドア”を装備し、ロングホイールベース化による後席の居住性アップと共にファミリーカーとしての使い勝手のよさ(後席乗員の乗り降りのしやすさ)もクラブマンならではの魅力となっている。当初設定されたグレードは、クーパークラブマン(1.6リッターエンジン/最高出力:120ps)とクーパーSクラブマン(1.6リッターターボエンジン/
最高出力:175ps)の2種で、2009年に211psという強大なエンジン・パワーを誇るJCW(ジョン・クーパー・ワークス)クラブマンが最強グレードとしてラインナップに加わった。
2010年の春に実施されたパワーユニット変更で、クーパークラブマンの最高出力が122ps、クーパーSクラブマンの最高出力が184psへとアップし、同じタイミングでエコ系の対策も施された。ひとつはエンジンブレーキ時の減速エネルギーをオルタネーターで回生充電し、エンジンを充電の負担から解放するブレーキエネルギー回生システム(マイクロ・ハイブリッド・システム)で、これはMT仕様かAT仕様かに関係なく装着された。そして、もうひとつはメーカーがエンジン・オートマチック・スタートストップ機構と呼ぶもので、これはいわゆるアイドリング・ストップ機構となる。こちらは、MT仕様にのみ装着された。
BMWグループは、去る2011年8月31日にMINIの累計生産台数が200万台に到達したと発表した。MINIがデビューしたのは2001年のこと(2006年に実施されたモデルチェンジで2代目へと進化した)で、累計生産台数200万台達成はMINIの生産開始から10年での出来事となった。英国のオックスフォード工場で組み立てられているMINI(プラットフォームが異なるクロスオーバーだけはオーストリアのマグナシュタイア社で造られている)は、現在世界90カ国以上へ出荷されるグローバルカーとなっている。すでに5番目のMINIであるMINIクーペのディテールが公開されており、MINIロードスター、MINIペースマン、MINIロケットマンといった魅力的なバリエーション・モデルが続々登場予定なので、今後ますます『MINI』を取り巻く世界は拡大していくことになるだろう。
|