カーレビュー

 さて、ホットハッチ感バリバリのトゥインゴRS、ルーテシアRSに比べると、最新作メガーヌRSはグッと大人っぽい。もともと車格も一番上なのだが、それを踏まえても次元をひとつもふたつも超えている。 ヴィジュアルはハッチバックというより、もはやスポーツクーペだ。ルーフからテールエンドにかけて、なだらかにラウンドした美しいライン、全幅1850mmもあるワイドなフェンダー、ブラックアウトした顔の表情など、実に立派なグランツーリスモだと感じる。

 インテリアも上記RS達と比べると、群を抜いて上質で質感が高い。イエローメーターやステッチ、アルミペダル、レカロ製スポーツシートなどRSらしい専用装備もテンコ盛りだ。注目はセンターコンソール中央部に備わる「R.S.モニター」。ブースト圧、スロットル開度、トルク、出力、ブレーキ圧、油温、吸気温、ラップタイム、前後横Gモニター、0→100km/hタイムなどを刻々と表示してくれるほか、アクセルペダルの特性を「SNOW」から「EXTREME」まで変えたり、ESCのモード選択も可能となる。ステアリング脇のボタンで操作するそれは、最初は少々戸惑ったものの、慣れたら素直に面白い。信号待ちのたびにいろいろイジって遊ぶ自分がいた。

 さて、肝心の走りだが、エンジンは基本骨格こそ先代を踏襲しながらも、25%ものパーツを一新させた2.0Lの直4ターボである。最高出力250ps。最大トルク34.7kg-mはさすがに強烈だ。ターボラグが少なく、どこから踏んでも鋭い加速を楽しめる。最大トルク発生回転は3000rpm、最高出力発生回転5500rpmと低めで、そこはルーテシアRSのように上まで回しきる快感は薄い。ぶ厚いトルクに身を任せ気が付けば猛烈に速い、そんな感じだ。

 日本に導入されるのはよりハードなシャシーカップというパッケージだが、それを差し引てもコーナリングは感動モノだった。普段は適度な硬さで快適クルージングをこなしつつ、なにしても破綻しないと思わせるほど踏ん張り、ハイパワーFF車にありがちなトルクステアも見事に解消されている。特別設計のストラットサスペンションや、強力なLSDの賜物だろうか。運転が上手くなったという錯覚に陥って危険だ、と感じたほどだった。

 このように大人っぽい味付けの中に、まるでDNAのように熱いRS魂がすり込まれていることが嬉しい。新車価格385万円は素直に安い、と思った。