トゥインゴのラインナップを検証してみると、ベースグレードのトランスミッションは5段セミATのクイックシフト、スポーツモデルのGTとルノー・スポールは5段MTの設定となっている。つまり、「走りを楽しむのならマニュアル・トランスミッション」という伝統的な文法を貫いているのだ。この頁では、1.2リッター直4ターボに5段MTを組み合わせたスポーツモデルのGTを紹介しよう。
まずはホット・ハッチの肝になるエンジンを紐解いていこう。GTの搭載するD4F型ユニットはターボ付きだからといって高回転までブンブン回しておいしさを引き出すタイプではない。3000rpmで14.8mkgの最大トルクを発生するスペックからも解るように、一般の方が街中や高速道路で多用する回転域で楽しめるように躾けられている。実際、2000rpmも回してあげればグングン加速していくし、クルマ好きの方でもどこからターボが利いたのかが分からないほどそのフィーリングはナチュラルだ。1040kgの軽量ボディに100psは充分すぎるほどで、メーカー発表の0-100km/h加速は9.8秒。実際、アクセルペダルを深く踏み込めばかなりの迫力が味わえる。MTだから、自分の手で手綱を握っている感覚を楽しめるのもいい。
5段MTの感触が気になる方も多いだろう。とにかく神経質な部分は一切なく、スルスルと次のギアに送り込めるし、クラッチも非常に軽いからMTに不慣れな人でも昔の感触を取り戻すのにそれほどの時間は必要としないはず。また、ホット・ハッチといえば締め上げられたサスペンションを想像する方が多いと思うが、トゥインゴGTの足はスポーツ指向のクルマにしてはコシがあってしなやかなタイプ。ただし高速道路に入れば、2リッター級スポーティモデル顔負けのどっしり感も持っているところが真骨頂だ。このサスペンション、まさに通好みの“仕事人”である。
ちなみに、ベースグレードではマニュアルとなるエアコンはオートとなり、さらに電動パノラミックグラスルーフも標準装備となる。トゥインゴGTは40・50代の方に自信を持ってお勧めできる懐の深い爽快なコンパクトカーである。1.2リッター級では久々に登場した秀作と言っても過言ではない。
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