Q:ポルシェ製SUVを最も色濃く
味わえるモデルは?
A:ターボもいいけど、よりスポーツカーライクな味付けのNAホットモデル「カイエンGTS」がオススメ。流通台数が少ないので、見つけたら速い者勝ち。
先代後期型をオススメする理由として、リーズナブルな価格帯で敷居の低いV6モデルと共に、値落ち幅の大きなV8勢(ターボ含む)と、ふたつの括りで見ることができる。その後者を思いっきり体現するような物件がここに登場したのでご報告したい。
ターボ系と同じ顔つきに14mmほど拡大されたボディ同色のホイールアーチ、そして21インチのカイエンスポーツホイールがピタリとはまる24mmローダウンなどが無言で主張する。V8とターボを間を埋める戦略的なスポーツモデルにして、NAの究極形態と言われるカイエンGTSである。
この個体、カイエンGTSの日本導入から1年近くが経った頃のもの。初年度登録2009年3月である。走行距離は3.2万kmだから、来年に2度目の車検を迎えるにしては幾分少なめだ。日常使いとして酷使されたという印象は薄く、グランツーリスモとして大切にされてきた様子を持つ。
それは内外装の程度からも伺える。バサルトブラックメタリックにはまだ新車のような輝きを放ち、走っていればやむを得ない飛び石キズなども、その後の加修やガラスコーティングなどでほぼ皆無といった状態に到達している。インテリアもまた極上だ。さすがに「新車の香りが…」とまではいかなくても、使用感なく張りのあるレザーとアルカンタラが気持ちいい。
この個体を販売するのはポルシェセンター水戸だ。同グループたるポルシェセンター宇都宮と共に北関東から東北まで幅広い商圏を持ち、そこには北国が含まれることからも、カイエンのような4WDモデルの取り扱いには長けている。驚くべきことに彼らは、今回のこのGTSの販売にあたって、先のボディコーティングはもとより、ホイールやホイールハウスの裏側まで丹念に磨き、ワックス掛けを施した。その上で、ただでさえ厳しいポルシェの認定中古車基準を遙かに上回る“予防交換”がなされている。現状ではまだ整備の途中だというが、それでも新品に近いタイヤやブレーキ回りなど、安心して乗れる材料が整っているのが自然と伝わってくる。もちろん、展示は全て屋内保管を貫き、ショールームに飾られている様は、ともすれば新車と間違えられてもおかしくないほどだ。
これだけの程度ながら750万円という価格に驚く。当時の新車価格が1100万円強。オプションや新車時の諸費用を考えると、4〜500万円は下がっている。なによりも現行型カイエンのV6モデルより安い投資でGTSが手に入るのだ。先代のGTSは、デビュー後に訪れたリーマンショックを発端とする世界的な不景気が災いして、登録台数が少ない傾向にあった。言い換えればそれだけ希少性が高いということで、ポルシェというブランドの信頼耐久性の高さも手伝って、今後長きにわたって価値を持つモデルと言える。もし、このGTSを手に入れて数年乗っても、まだ認定中古車として高値で取引されるはず。それだけリセールバリューに期待できるのである。もちろん、一生モノとして付き合うにも格好の相棒だ。SUVらしからぬ引き締められた走りと、SUVらしい利便性の高さを、見事に両立させたポルシェテクノロジーを存分に味わせてくれる。また、内外装がブラックで統一されたコーディネイトは、いかにもポルシェらしい質実剛健なもので、品質の良さも手伝って色褪せて見えることが少ない。時おり姿を現すこうしたスペシャルモデルの存在もまた先代カイエンをオススメできる理由であり、またポルシェ認定中古車の頼もしさを感じる部分である。
このように先代カイエンは、クルマに求めるものや、用意する費用ごとに様々なアンサーを導き出すことができる。そのどれもが個性にあふれ、安いからといって魅力も半減することにはならない。カイエンの認定中古車は、タマ数が豊富だからこそ、その先に拡がるライフスタイルにも多くの可能性を秘めていて、とても面白い。巷の先入観を一度脇に置いて、真っ向からカイエンの認定中古車と向き合ってみて欲しい。 |