VWニュービートルカブリオレ 徹底検証
1999年9月に上陸を果たしたニュービートルは一見してTYPETの後継モデルと分かるクラシカルなスタイリングを持つのが最大の特徴だ。いっぽうでVWらしくないモデルとも言えるのかもしれない。実用性やパッケージングをまったく無視したクルマをまじめなVWが作ったという意味では「らしくないモデル」と考えることもできるわけだ。VWも当初はニッチカーと割り切ってリリースしたようだが、なんと世界中で大ヒット!日本でも当初導入された2000台は瞬く間に完売となった。そして2003年6月にカブリオレがリリースされる。これがまたオープンカーとしては好調なセールスを記録した。残念ながら2010年3月にカタログからその姿を消したものの、いまでも認定中古車は大人気となっている。果たしてニュービートルカブリオレとはどんなクルマなのか。フォルクスワーゲン相模原橋本で見つけた後期型(2005-2010)のLZを俎上に載せてその詳細をじっくり検証していこう。
01 フロントビュー
バンパーやヘッドライトなどのパーツ、また前後のオーバーハングやロードクリアランス、どれをとってもTYPET(オリジナル・ビートル)とは別モノなのだけれど、どう見てもTYPETの末裔にしか見えない絶妙のデザイン。つまり、同じ世界観を持つクルマはTYPET以外にない。サンプルカーは2007年式(後期型)だから2005年までの前期型に比べてヘッドランプは大型化されエアインテークが3分割されるバンパーが装着される。ちなみに、ボンネットを開けば荷室ではなく、もちろんパワーユニットが収まっている。
02 リアビュー
ソフトトップは流行りの格納式ではなくZ型に折り畳まれて背負うことになる。つまりケーファー方式でレトロ感を演出しているわけだ。ただし、熱線入りガラスウィンドーを備えトップを閉めた状態でも実用上まったく問題ないのはあの頃とは違う。ラゲッジスペースはゴルフと比べると容量はかなり小さくなるものの、トランクスルー機能が付いているから意外と便利に使える。細かいことだがナンバープレートを取り付けるスペースがきっちり日本サイズになっているのはさすがフォルクスワーゲン。
03 サイドビュー
TYPETを踏襲する丸いフェンダーラインとまっすぐなショルダーラインがレトロな雰囲気を醸すサイドビュー。幌を開けた真横からの眺めが最もTYPETに似ているかもしれない。メッキのモールディングもケーファーを知る人にとっては泣かせる演出。パッケージング的には無駄が多い常識はずれのデザインなのだがその無駄というか「遊び」がニュービートルの真骨頂。プラットフォームをゴルフWと共用しているのが信じられないし、ボディの剛性感がゴルフ・カブリオレより数段高いのにも驚かされる。幌だけではなく車両全体の開発作業を行ったカルマン社の成せる技だ。幌を閉めても特徴的なアーチルーフの採用でTYPEIを再現しているからこれまた実にカッコいい。
04 ソフトトップ
ロックを解除するためのグリップ操作以外は自動で開閉(13秒)ができるソフトトップ。カルマン製の幌は質感の高いキャンバス地で出来ていて耐候性/耐久性にも優れている。当初、色は黒しか導入されていなかったが後に赤(ヴィンテージ)やベージュなどが用意された。
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