千葉エリアでポルシェディーラー網を構築する株式会社ファミリーの1拠点「ポルシェセンター市川」で見つけた個体もまさにそれだ。元はデモカーとして活躍し、このたび店頭に並ぶことになったパナメーラSである。
プラチナシルバーメタリックの外装色にブラックの内装は、不変の人気を持つ定番のコンビネーション。19インチのターボホイールや電動サンルーフなど、ツボを抑えたオプションが付くのはさすが元デモカーと言える。初年度登録は2009年9月で、走行距離は8900km。この状態で1195万円のプライスが付けられていた。新車の車両本体価格が1374万円であり、オプション価格含めた乗り出し価格が1500万円を超えることを考えると、じつに300万円以上のプライスダウンだ。たった1年1万キロ強を経ただけであり、しかもポルシェに精通したプロフェッショナル達が日々手塩にかけて維持してきた個体と考えると、とても魅力的な個体だと思う。
また、この個体に具現されているように、昨今の輸入車トレンドとは異なりパナメーラは左ハンドルが好まれるという。さらにカイエンではV6が好調なのとは反して、今のところパナメーラはSや4S、あるいはターボといったV8系のニーズが高い。これがデビューから間もない時期であるがゆえの傾向なのか、はたまたV6でも1000万円を超える価格が災いし「ならば無理してもV8を…」という心理が働くのか。ともあれ、時間と共に認定中古車は豊富になるだろうが、しばらくはV8が中心となるのは間違いない。V6は発売時期にしても少し遅かったということも要因となるのだろう。
しかしV6に魅力がないというわけでは決してない。V8をベースに新開発したV6は非常に軽量かつ俊敏なエンジンだ。絶対的加速力ならV8に歩があるが、しかし“軽さ”を感じることができるのは大きな価値だと言える。
今後、ますます各地のデモカー落ちが市場を賑わすと共に、春先に増加する乗り換えに伴って下取り車も徐々に出てくるはずだ。パナメーラの認定中古車から始めるポルシェライフ。この選択肢は今後要注目である。
TEXT:中三川大地
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