これで1025万円という価格にまた驚く。新車価格に先のオプション装備品を含めると、新車乗り出し価格は1800万円を超えるはず。初年度登録からたった3年強でここまでの下げ幅を実現した。しかも、走行距離はまだ1万kmであり、内外装にまだ些細な傷、汚れひとつ見あたらない。前オーナーがセカンドカーとして大切に所有してきたような過去が思い浮かぶのである。 もちろん、ポルシェが構築する認定中古車制度も背中を後押しする大きな材料となる。全国統一された手厚い保証に加えて、納車前の入念な点検整備も欠かせない。とりわけポルシェセンター高崎・前橋は、こうした特殊モデルの取り扱いに長けているばかりか、多数のユーザーを抱えるため良質な下取り車が集まってくる、というメリットもある。そうした背景や姿勢を通して見ると、やはりこのカレラ4Sカブリオレは相当に魅力的に映る。
ちなみに、同様の価格帯だと極めて新車に近い最終型のカレラ系も選択材料になる。実際、同店にあった2011年8月登録の911カレラ(PDK)は、この個体+30万円の1055万円だった。これもまたデモカー上がりという背景ゆえに豊富なオプション装備を設えており、新車比で数百万円はお買い得となるはずだ。半年以上待たねばならない新車に比べて、即納されるのも嬉しい。
というように、タイプ997の世界はまだまったく色褪せてはいない。元々、時間で価値が衰えないポルシェ911である。今後、タイプ991の本格普及と、それに伴う乗り換えに伴って、タイプ997を中心としたポルシェ認定中古車の世界は、今後ますます活況を呈するはずだ。「いつかはポルシェ911を」と思う人にとって、いまや絶好のチャンスが到来しているのである。
TEXT:中三川大地
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