さて、発進したプロビナンスの第一弾をご紹介したい。いずれも純白のドレスのような、ファントムとゴーストが並んでいた。注目したのはファントムである。2003年に誕生した新生ロールス・ロイスの大黒柱にして牽引役だが、この個体はまだ極めて新車に近い2011年4月登録のものだった。
登録から1年強だが、走行距離はまだわずか1000km。まだ新車の雰囲気をそこかしこに残しながら佇んでいる。アークティック・ホワイトの外装色に、シーシェルとブラックが組み合わされた内装色は、華やかな雰囲気をたたえながら、しかし派手すぎることはない。そこにピアノブラックのウッドトリムとスピリット・オブ・エクスタシー・インレー・ドアキャッピングスが備わる。どこを取っても気品を感じる、絶妙なコーディネイトだと感じる。
価格は3980万円となる。単純に自動車の価格として見たら高価だろう。が、新車でオーダーしたら5000万円に届く上に、先述したプロビナンス保証が付く。そうした背景を加味すればリーズナブルなのだと思えてくる。もちろん新車保証もまだ3年弱と充分に残っている。購入後に何年共にしても価値が衰えることの少ない安心感もまた、ロールス・ロイスならではの強みである。
このファントムに限らずロールス・ロイスは、価値ある高級車だからと飾っておかずに、積極的に街へ連れ出したくなる魅力を持つ。後席に座ればふんわりとフラットな乗り味に包まれ、ステアリングを握れば独特の世界観に感動を覚える。今後、乗り換え需要の増加などに伴いプロビナンスは増加すると予想される。この世界最高峰のサルーンを味わうにあたって心強い制度ができたものだ。これなら臆することなくロールス・ロイスの世界に飛び込める。
TEXT:中三川大地
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