BMWが“駆けぬける歓び”と標榜するスポーティテイストを、そのままSUVというジャンルに注ぎ込む。そうしたコンセプトを持ってSAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)と名乗ったBMW X5が誕生してから、もう10年以上が経った。X5自身は2007年に2代目となり、またマイナーチェンジも敢行されて熟成が進むが、その間、2008年にはSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と銘打ったBMW X6が登場した。このX6がいま、発売から3年近くが経過したことで注目株となっている。もちろん、2代目となるX5も同様に期待が集まる。そこで今回は、BMWのプレミアム・セレクションを中心とした、これらBMW流SUVの認定中古車に迫ってみたい。

 訪れたのは「Abe BMW」である。「BMW Premium Selection品川」として認定中古車を取り扱う彼らは、いつも刺さる人には刺さる個性的な個体ばかりを30〜40台ほど取り揃える。個性的とはボディカラーや仕様であったり、または特別なモデルなど。そんな彼らがいま、X6やX5には特に力を注ぐ。

 この日対面したのは、鮮やかなバーミリオンレッドの外装に、オイスターレザーの内装を持つ2008年式(登録は2009年)のX6 xDrive35iと、そしてスペースグレーメタリックの外装に、ベージュレザーの内装という落ち着いたイメージを持つ2007年式のX5 4.8i M-Sportである。2車を見比べてみると、改めてX6はX5のお化粧直しではないと再確認する。リヤビューのみならず、Aピラーの角度から寝かされてルーフが一段と低い。バンパー形状もよりスポーティなものとなるなど、X5の派生モデルというよりは、車高の高いスポーツクーペという印象だ。パワートレインもまた然り。X5に先駆けていち早くツインターボ化されたほか、BMW初のダイナミック・パフォーマンス・コントロール採用車であり、当然この個体にも装着されている。

 個性的なスポーツクーペとして捉えたら、初年度登録から3年弱、走行距離1.8万kmにして価格695.1万円というのはなかなか魅力的だ。外装は時間の経過を感じさせない状態だし、プレミアム・セレクションとして2年間、走行距離無制限保証を筆頭とした手厚い保証も受けられる。グレードによっては3シリーズの新車よりも安い価格で手に入るのである。

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Aピラーの傾斜がキツくなるが窮屈さは感じられず、見晴らしの良いスポーツクーペといった印象。パドルシフトが用意された6速ATやダイナミック・パフォーマンス・コントロールなどオンロード性能が際立つ装備がテンコ盛りだ。

明るい色調のネバダレザー・オイスターが、外観の雰囲気に似合っている。前席はヒーター付電動調整スポーツシート。後席は敢えて2人掛けとしたセパレートタイプとなる。大人4人が快適に長距離移動できる空間が拡がっている。

このxDrive35iに搭載されるのは2979ccの直列6気筒パラレルツインターボ。最高出力306ps/5800rpm、最大トルク40.8kg-m/1300〜5000rpmを発揮する。数値よりも最大トルクを発生させる回転幅の広さが見逃せないところだ。

 

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