捉えどころがないと言う人がいる。高級グランツーリスモとしての機動性、快適性を持ちつつ、ステーションワゴンに匹敵するユーティリティ性能を実現させた。昨今のスマートフォンのように全方位的に優秀なクルマだが、しかし“5ドアハッチバック”という形態だけで、ここ日本ではずっと支持を得なかった。高級セダン崇拝主義とか、3ボックス依存が根強く残ったまま、でなければ一気にミニバンやスポーツカーへと行く国民性である。
しかし門前払いは勿体ないと、5ドアハッチバックを推したい気持ちになったのは、BMW 5シリーズGT(グランツーリスモ)と出会ったから。2010年にデビューした時は、クロスオーバーと謳って新ジャンルの開発に躍起になるBMWからの期待作だったが、いざフタを開けたら日本というマーケットの先入観が大きかったようだ。新車販売はさほど好調ではなかった。
だからこそ、ここで5シリーズGTを推したいと思う。名前に“5”とあるようにF10型5シリーズの派生モデルという位置付けだが、骨格の基本はF01型すなわち現行型7シリーズである。ゆえに5mの全長に1.9mの車幅、3m強のホイールベースなど、7シリーズと同じゆとりを持ち、さらに車高が高いぶんだけさらに開放感、広々感がある。そこに535i、550i共に最新のBMW哲学が凝縮されたターボである。走りや快適性も抜群。その上に5ドアハッチバックらしいユーティリティをも併せ持つ。では、スタイルはどうか。いかに優れたクルマでも格好悪ければ誰も手を出さない。が、いま一度その姿形をよく見て欲しい。まるで車高を落としたX6のようなフォルムだと思う。ノーマルで乗ってもよし、カスタムしたらまた迫力を増すような雰囲気を持つ。
5シリーズGTを探すなら、オススメは認定中古車、それも万全の保証体制を持つプレミアム・セレクションである。実際に調べてみたら確かに安いが、数も少ない。そこで、いつも個性的な車種や仕様を取り揃える「Abe BMW」を訪れた。「BMW Premium Selection 品川」として常時30台以上の認定中古車を揃える彼らはこの日、2台の5シリーズGTを保有していた。
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