この10年、間違いなくプレミアムSUV界を牽引した主役である。ポルシェ初のSUVにして、ブランドの持ち味であるオンロードスポーツ性能を強く打ち出したポルシェ・カイエンである。現在は、現行型2代目が普及し始めている。都心部を中心に、徐々に増えてきているのが実感できる。2010年より販売開始されたが、時代を反映してすぐさま追加されたハイブリッド・モデルに加え、今年5月の北京モーターショーではGTSが公開されるなど、追加モデルの拡充にも余念がない。いまやポルシェの大黒柱なのである。

 全国的な傾向を見ると、とりわけ増加が顕著なのは約3〜5年落ち、距離にして3〜5万kmといった程度のもの。初回車検が終わった頃の、いわゆる“アラフォー”物件がカイエンの世界には増えてきている。

 早速、その実状を確かめようと認定中古車ギャラリーがリニューアルしたばかりのポルシェセンター市川へと赴いた。3つの販売店で千葉県を網羅する株式会社ファミリーの一拠点である同店で出迎えてくれたのは、3台の先代後期型だった。時流を掴んで先代カイエンを意欲的に集めていたのだった。

 一例として取り上げるのは、初年度登録が2009年3月と約3年半が経過したV6モデルだ。走行距離は標準的な使い方と思われる3.5万km。入庫したばかりで、ポルシェならではの入念な加修やクリーニングの施行前だったが、それでも実に瑞々しい。そこかしこに程度の良さを感じさせるものだった。

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日本に正規輸入されたV6モデルは右ハンドルのみ。現行モデル時代から素っ気なく古くさいと評されたこともあったものの、実際はとても使いやすく既存のポルシェユーザー如何に関わらず馴染める。見晴らしも良さも特筆モノだ。

この個体はブラックレザー仕様。汚れが目立たないことを差し引いても、張りと艶があって古さを感じさせない。リアシートには大人3人が充分座れるスペースを持つ。開放感の高いチルトスライド式電動サンルーフが装着されていた。

積載容量は通常で540L、後席を倒せば最大で1770Lにまで拡大する。低い位置から開口するゲートに加え、フラットな荷室はとても使いやすい。またエアサスには「荷下ろしモード」なる低い車高状態にできる機能が設けられる。

 

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