仕様をざっと見る。人気の高いバサルトブラックメタリックのエクステリアに、同じくブラックレザーのインテリアとなる。そこにエアサスペンションやデュアルチューブ・スポーツテールパイプ、19インチアルミホイールなどいわゆる走りの質を高めるような装備が満載されていた。V6モデルだからといってV8モデルに比べて廉価版ではない、むしろ鼻先の軽さを際立たせたフットワーク性能が光る。特に後期型になってからはV6モデルとはいえ3.6L化され(前期型は3.2L)、重さを感じさせない俊敏な動力性能を実現するようになった。そうした意味でも先代後期モデルは狙い目なのである。
この状態で価格は568万円。V6モデルの全国的な相場のど真ん中にある。ひと昔前なら軽く600万円を超えてきただけに、相場が下落傾向にあるというのは事実のようだ。あと数年乗っても相応のリセールが期待できるし、もちろん長年連れ添うにあたっても充分期待に応えてくれるはずだ。なにしろポルシェの認定中古車、111項目にも及ぶ点検整備を始め、納車後1年間、走行距離無制限での保証を受けることができる。この保証は有償で2年へと延長させることも可能となる。元々、初年度登録から9年、走行距離20万km以内の無事故、無改造車と、ポルシェは認定中古車のくくりが広い。品質に自信があることのなによりの証明であり、それはカイエンにしても同様だ。
最後に、この日並んでいた他の2台を見る。面白いことに2台とも578万円と同じ価格で、1台は取り上げた個体と同様の黒いV6モデル、もう1台は白いV8モデル(カイエンS)だった。冒頭に挙げたように先代後期カイエンが増えているのは事実のようで、どうやらV6を中心に5〜600万円台で“選べる”状況にあるのは間違いなさそうだ。ポルシェ正規ディーラーであれば、同店を始め全国のユーザーへの対応を柔軟に行う販売店ばかりなので、憧れのカイエンユーザーになる第一歩として、ぜひ日本全国にあるカイエンの在庫をじっくりと検証してみたい。
TEXT:中三川大地
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