モデルチェンジのたびに新型に心踊らせるその傍らで、現実的な購入選択肢という意味では、旧型になりたての1世代前には大いなる可能性がある。新車在庫が一気に市場に解き放たれ、さらには新型への代替えに伴って下取り車も増加する。良質、リーズナブル、かつ選択肢が豊富、という三拍子揃った状態が訪れるのだ。旧型が魅力的であればあるほど、新車記事を眺めるばかりではなく、積極的にこうした物件を吟味するのは実に賢い。
 そんなことを感じたのは、ポルシェにおけるモデル変遷の、その動向に起因する。昨年2012年はポルシェにとって大きなステップの年だった。大黒柱かつイメージリーダーを務める911が全面刷新されて991型となり、歩みを共にボクスターも981型へと切り替わった。まもなくケイマンも登場するいま、気が付けば先代の987型ボクスターが冒頭の状態にあてはまっていた。
 それは検索サイトを覗けば一目瞭然だ。では、その実体を確かめようと、今回、先代ボクスターの品揃えには特に力を注ぐ埼玉スバル自動車株式会社の一拠点、ポルシェセンター狭山を訪れた。そこで出会ったのは5台以上の987型ボクスター。当然ながらすべてがポルシェの認定中古車である。
 とりわけ注目したのは、ショールームに新車と同様に展示されていた1台、2012年12月に登録されたばかりの未使用車である。シブいプラチナシルバー・メタリックにブラックペイントされた19インチ・カレラSUホイール。これはドイツのナショナルカラーを表現したようで、なんとポルシェ・ジャパンが2011年の東京モーターショーに出展した個体そのものだという。つまり当時、インポーターが最も世に提示したいパッケージだったのだろう。

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ボクスターはステアリング位置を左右選べるがこの個体は左。現在は右の人気が高いが市場には個体が少ない。ミッションは話題沸騰中の7速PDK。3ペダルよりも速く、かつイージードライブも可能とあって市場で引く手あまただ。

2シーターミドシップとはいえ、積載能力はなかなか侮れない。乗員分大人ふたりの荷物を飲み込む深いスペースがフロントに確保される。バルクヘッド側の小物入れも収納となっていて、これは新型の981型にはなくなったものだ。

フロントに加えてリアにもトランクルームが備わるのがミドシップのいいところ。容量こそさほどでもないが、ちょっとした小荷物を入れるには充分だ。エンジンルームとは遮断されているので、エンジンを覗くことはできない。

 

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