それがスポーツグランツーリスモにしてもプレミアムSUVにしても、市場の中心にあるのは常にドイツ車だった。その機械的性能を見れば納得できるが、しかし敢えてのハズし技とも言うべきか。ドイツ車に引けを取らぬ性能を有しながら、かつ独特かつ濃密な世界感の宿るものがある。

 それは英国車だ。ライトウエイトスポーツとか、ヒストリックカーのイメージが先行する英国車の世界だが、気が付けばモダンプレミアム界への進出が著しい。とりわけ注目したいのはジャガーである。もともとスポーツカーブランドとして名を馳せたジャガーは、今でもほぼ全てのモデルにホットモデルを用意する。それはXKやXFにある“R”モデルであり、XJにあるスーパースポーツである。おしなべてV型8気筒にスーパーチャージャーを添え、スーパースポーツ顔負けの500ps以上を叩き出す。それも英国車らしい気品ある設え、滑らかかつ上質な走り味を巧みに残したままにだ。

 その中で最も辛口なのが、ジャガーXKR-Sだ。ジャガーとしては量産車史上の最強スペックたる、最高出力550ps、最大トルク69..3kg-mを誇る。その動力性能を誇示するかのように、内外装含めて刺激的なアピアランスをまとう。もちろん性能を突き詰めたがゆえの結果である。

 XKR-Sが発売されたのは昨年2012年だが、その新鮮なモデルが早くも認定中古車として登場した。イメージカラーたるフレンチレーシングブルーをまとう個体を販売するのは、ユニークかつ個性的なモデルを意欲的に取り揃えるジャガー・ランドローバー三島だ。彼らは株式会社エー・エル・シーの一拠点として英国車に精通し、両ブランドの正規販売店を務める。

 この個体は同店のデモカーとして日本の土を踏み、年度の切り替えに伴い晴れて認定中古車となった。初年度登録から1年強、走行距離はまだわずか1000kmと、極めて新車に近い状態である。それが1450万円というのだから、とても驚く。新車価格は1750万円であり、上記の使用条件だけで単純計算して300万円ものプライスダウンを遂げたのである。

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XKR-Sの専用意匠は数知れず。通気孔やディフューザーが備わったフロントバンパーや、カーボンファイバースプリッター・ディフューザー付のリアエプロン、リアウイングなど。歴代ジャガーで最も刺激的なアピアランスをまとう。

装着されるホイールは軽量鍛造20インチの「Vulcan」と呼ばれるもの。裏には専用に設えられた大型ブレーキシステムが見える。タイヤサイズはリアのみXKRよりも10mm太い。フロント255/35ZR20、リア295/30ZR20である。

2012年のマイナーチェンジによりXK全体のAT操作系が、新型ジャガーの流儀に沿ってJゲートからダイヤル式のセレクターになった。ぶ厚いバケットシートはカーボンレザー&ソフトグレインレザーシート。ホールド性は抜群だ。

 

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