昨今の自動車メーカーは、軒並みパワーユニットのダウンサイジング化へと向かっている。エンジン形式が個性だった時代は次第に過去のものとなり、新たに「少排気量+過給器化」することで欲する出力性能を満足させる。BMWもその例外ではない。伝統的な型式名である“E”から、新時代の“F”へ移行すると共に、シリンダー数や排気量は縮小傾向にある。もはや3シリーズのF30、5シリーズのF10と、主力クラスに“F”が出揃った。
こうした技術進化は歓迎すべきだが、同時に大排気量のマルチシリンダーを転がす贅沢を味わう時間が、決して多くは残されていないこともまた事実だ。だが、今ならまだ程度の良い中古車が手に入る。そう踏んで、BMWの認定中古車を確かめる。BMWの認定中古車はプレミアム・セレクションと呼ばれるが、厳密には初年度登録から5年未満、走行距離6万km以内の個体がプレミアム・セレクションに該当し、同条件で8年、10万km以内をアプルーブドカーという。さらにその範疇外にユーズドカーもある。3つの区分を設けることで、様々な年代のBMWを楽しめる体制が整っている。
さて、刺さる人には刺さるユニークな個体を取り揃えることに定評のある「Abe BMW BMW Premium Selection品川」には、さすがに多くの選択肢があった。なにより注目は“F”の型式を持つ新時代のフラッグシップと、“E”の時代の究極系が並んでいたのだ。
まずは“E”の究極系に迫る。E63という型式の6シリーズにして、F1直系と言われる4999ccV10エンジンを積むM6だ。1代限りで消えた希有なV10が載るだけで価値はある。M6はM5よりも希少性が高く、よりスポーティな2ドアクーペなのがいい。最も色濃くV10を味わえるモデルだと思う。
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