この個体、2006年式の前期型だから7年以上が経過するものの、走行距離はまだ1万kmという個体だった。これからが美味しい時期と言える距離で、内外装も極めて良好な状態が保たれている。セパン・ブロンズの外装色に、メリノ・ブラックレザーという組み合わせは通好みでいい。前オーナーがコダワリを持っていた証拠で、丁寧に扱ってきた様子も伺える。
新車なら車両本体価格だけで1600万円弱は必要とされたこの個体が、この状態を持って546万円で販売されていることに驚く。年式の関係で上記のアプルーブドカーに該当するが、保証が1年間、2万kmになるだけで、整備項目や保証体制はプレミアム・セレクションとなんら代わりがない(プレミアム・セレクションは2年間、走行距離無制限)。ハイパワーモデルだからといって、その後の維持を按じる必要はない。不安視される7速SMGVは保証適応されるし、万が一保証期間を終えてから交換しても費用は70万円ほど。それを含めて考えても、安い価格が提示されている。
さて、極上のM6に後ろ髪を引かれる思いで次に目にしたのは、一転して最新のF10型M5である。デビューからまだ1年あまりで、早くも店頭に並んでいた。初年度登録は2012年2月で、走行距離は7000kmほど。人気のアルピン・ホワイトVをまとい、右ハンドルのサンルーフ付という定番人気仕様だ。もちろんプレミアム・セレクションに該当し、価格は1260万円。新車での車両本体価格が1495万円と考えると実にリーズナブルだ。新車と比較しても遜色ない程度を持つばかりか、オーダーする新車に比べて即納される点も嬉しい。同店の場合、母体が阿部商会ということを活かして、納車の際にHIDやホイールなど、自分好みの仕様にするアドバイスもしてくれるという利便性と、揺るぎない安心感がある。
このようにBMWの認定中古車はいま、いくつもの選択肢が拡がっていて面白い。最新の“F”を賢くリーズナブルに手に入れるか、それとも忘れられない名車ばかりが並ぶ伝統の“E”を改めて味わうか。同店に代表されるように、様々なニーズをBMWは受け入れてくれるはずである。
TEXT:中三川大地
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