質問:31歳・女性 Aさん・専業主婦(神奈川県横浜市)
昨年、横浜市青葉区に引っ越してきました。現在、我が家には軽自動車とアメリカ製SUVがありますが、このところガソリン価格が高いこともあり、主にダンナが乗っている燃費が悪いアメ車を下取りに出し、使い勝手がよく、なおかつ安全性も高いヨーロッパ製の中/小型車に買い換えようと思っています。お洒落なコンパクトカーが見つかれば、ワタシが愛用している軽自動車も下取りに出していいです。電車通勤をしているダンナは基本的に週末にしかクルマに乗らないので、ウイークデーはワタシがショッピングや幼稚園に通っている息子の送り迎えなどでクルマを使います。週末はダンナも運転するので、コンパクトカーであっても、できるだけ走行性能が高いクルマがいいですね。青葉区はとにかく輸入車ユーザーが多く、4台に1台は輸入車が走っているような印象です。そのような状況の中でも個性がキラリと光り、ちょっとオシャレな毎日を過ごせるヨーロッパ製小型車を探してください。

 2006年にデビューしたプジョー207は、いわゆるBセグメントというカテゴリーに属しています。このBセグメントのクルマはリーズナブルな価格と使い勝手のよさを特徴としており、エコ志向の強まりと共にそれまで以上に脚光を浴びる存在となりました。国産車はもちろん、輸入車の中にも魅力的なモデルが多いわけですが、実はプジョーは以前からBセグメントに強いメーカーとして君臨してきました。簡単に説明しておきますと、'80年代中盤から'90年代中盤にかけて『プジョー 205』がヒットし、その後継モデルとして1998年にデビューした『プジョー 206』がさらに大ヒットし、小粋でお洒落なフランス車といえばプジョーというイメージを確固たるものにしました。
 プジョーの“20X・シリーズ”は、いつの時代にも洗練されたエクステリア・デザインと質の高い走りで数多くのファンを獲得してきましたが、『プジョー 206』とバトンタッチするかたちで登場した『プジョー 207』も同様のコンセプトでまとめられ、国産車では味わうことができない魅力(ちょっと贅沢な毎日を過ごせるなど)を有しているわけです。

 今回、Aさんにお勧めしたのはプジョー 207の上級グレードにあたる『シエロ(5ドア/1.6Lエンジン搭載)』で、ハーフレザーシート、パノラミックガラスルーフ(リアシートに座った子どもが外の景色を思い切り楽しめるので酔いにくいという利点がある)、バックソナー等を標準装備しています。207は、205、206のDNAを受け継いだモデルですが、実は前作からひとまわり以上ボディが拡大されており、ひと昔前のCセグメントに迫る存在感と室内幅を有しています。
 参考までに206比の数値を述べておくと、ホイールベースが100mm、前後トレッドが前30mm/後35mmほど拡大されました。外寸は、全長が195mm、全幅が70mm、全高が40mmほど大きくなり、Bセグメントに属するコンパクトカーですが、日本では全幅が1750mmなので3ナンバーサイズとなっています。軽快というよりも、しなやかな乗り味を特徴としているので、通常のBセグメントを凌ぐ、プレミアムBセグメントだといってもいいでしょう。当然のことながらボディの大型化に伴ない、衝突安全性が大幅にアップし、車体剛性も強化されました。ボディサイズの拡大や装備・安全面の充実が図られただけでなく、内装の質感も高められたため、5ドアを選択すれば所有する歓びに溢れたファミリーカーとして十分機能するわけです。
 現在、上級グレード:シエロの認定中古車相場は140〜150万円、標準グレード:プレミアムの認定中古車相場は120〜130万円ぐらいです。狙い目は最終型のシエロです。また、新車保証が1年未満の車両であれば最大で11ヶ月の新車保証+1年間の認定中古車保証が付くので、そのタイミングを狙ってみてもいいでしょう。非常にお買い得だと思います。

 プジョー 207 シエロ
 ●全長×全幅×全高:4030×1750×1480mm
 ●車両重量:1280kg
 ●エンジン形式:直列4気筒DOHC 1598cc
 ●最高出力:120ps/6000rpm
 ●最大トルク:16.3kgm/4250rpm
 ●ホイールベース:2540mm
 ●燃費:11.2km/L(10・15モード)
 ●トレッド前/後:1465/1460mm
 ●変速機:フロアMTモード付4段AT
 ●駆動方式:前輪駆動
 ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
 ●タイヤサイズ:195/55R16

peugeot207

取材車両
プジョー 207 シエロ
2010年式/走行1.7万km/オブシディアン・ブラック/検2年付
車両価格:149万円

質問:39歳・男性 Bさん・税理士(千葉県柏市)
ずっとEセグメントに属する国産セダンに乗っていましたが、ここ最近の潮流となっているダウンサイジングの波に乗って、Cセグメントあたりの輸入車に乗りかえようと思っています。愛車は週末だけでなく、仕事の足としてもたまに使っています。都内に行く機会も多いのですが、Eセグメントの国産セダンだと駐車スペースを探すのがイチイチ大変ですからね。子どもたちは、ふたりともまだ小学生ですが、6年生の女児と4年生の男児なので、リアシートが窮屈だと、4人乗車をしたときに確実に姉弟喧嘩になります(笑)。ということで、Cセグメントに属するミディアムモデルであっても、4人がゆったり乗れるクルマがいいですね。居住性だけでなく、動力性能に関しても妥協したくないので、Eセグメント並みに質の高い走りを楽しめるクルマが理想です。私のそういった希望を集約すると、単なるミディアムモデルではなく、アッパーミディアムモデルに位置する輸入車を狙うべきなのでしょうか。そんな希望に当てはまりそうなアッパーミディアムモデルを探してください。

 308というモデル・ナンバーからも分かるように、307の後継モデルとして2007年にデビューした308(日本での発売は2008年にスタート)。ライバルとなる優等生が多いCセグメントに属しており、現在でも新車が販売されています。認定中古車の世界だけでなく、新車の世界においてもプジョーを代表する主力商品のひとつです。
 先代モデルに当たる307は、プジョーにしてはやや控え目だといえるエクステリア・デザインを採用していましたが、308は低く、伸びやかで、アグレッシブなスタイルになりました。大きなグリルやツリ目のヘッドライトなどは207に通じるものだといえ、近年のプジョー・デザインは207によって開拓され、308によって早くも結実したものだといっていいでしょう。全高こそ低くなりましたが、全幅が307よりも大きくなった点もポイントで、それに伴ない室内の居住性が格段にアップしました。Bさんのご希望どおり、4人が快適に移動できる室内空間が備わっています。
 シャシーは307からキャリーオーバーされたもので、完成度の高さを身上としています。具体的に説明すると、やわらかな乗り心地ながら、シチュエーションを問うことなく粘り強いロードホールディング性能を発揮してくれます。さらに追記すると、ゆるやかにロールしながら、ドライバーが狙った走行ラインを正確にトレースできます。いかにもフランス車らしい、素晴らしいコーナリング・フィールを堪能できるといえるでしょう。

Bさんは、次期愛車に“4人乗車できること”と“質の高い走りを楽しめること”を求めていましたが、1.6Lターボエンジンを搭載しているプジョー308ならストレスを感じることのない力強い走りを楽しむことができます。というのも、 308が積んでいる1.6Lターボエンジンは、アクセル・ワークに即座に反応する俊敏なレスポンスを身上としているからです。そして、この優れた動力性能を誇っている1.6Lターボエンジンは、小排気量車にありがちな無駄なアクセル・ワークを減らせるので燃費がよく、上級セグメントのクルマから乗りかえるとランニングコストの低さに驚くことになります(当然のことながら1.6Lなので税金も安いです)。
 長時間走っても疲れない“しなやかな足”と高速道路の一番右を多用できるパワフルなエンジンを装備している308は、走行シチュエーションによって柔と剛を気軽に使い分けることができます。実用性が高いフランス車をパートナーとして『ちょっと贅沢な毎日』を送りたい方は、迷うことなく308をチョイスするといいでしょう。
 なお、308は2010年7月に、トランスミッションが従来型の4段ATからロックアップ領域を拡大した6速段AT(摩擦ロスが最小化されている/日本のアイシンAW製)に変更されました。遠出をする際に6段まで使えると高速巡航が非常にラクになるので、308を快速GTとして使いたい方は、6段AT仕様をチョイスするといいかもしれません。認定中古車の相場は3年落ちが100万円台後半、5年落ち(初期モデル)が130万円前後です。4段AT仕様でもOKという方は、リーズナブルな5年落ちを狙うといいでしょう。

 プジョー 308 プレミアム
 ●全長×全幅×全高:4290×1820×1515mm
 ●車両重量:1360kg
 ●エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ 1598cc
 ●最高出力:140ps/5800rpm
 ●最大トルク:24.5kgm/3500rpm
 ●ホイールベース:2610mm
 ●燃費:10.8km/L(10・15モード)
 ●トレッド前/後:1520/1500mm
 ●変速機:フロアMTモード付4段AT
 ●駆動方式:前輪駆動
 ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
 ●タイヤサイズ:205/55R16

取材車両
プジョー 308 プレミアム
2009年式/走行1.2万km/アビサル・ブルー/検2014.3
車両価格:178万円

質問:34歳・男性 Cさん・団体職員(東京都江東区)
この春に3人目の子どもが産まれることになりました。これまでずっと5人乗りの国産ステーションワゴンに乗ってきましたが、子どもが3人になると間違いなく手狭になるでしょう。ということで、この機会に室内空間に余裕があるクルマに乗りかえようと思います。妻は国産メーカーのワンボックスカーを買いたいらしいのですが、はっきり言って、私は背が高いワンボックスカーの超凡庸なスタイルがキライです。いくら室内空間が広いといっても、幼稚園児の落書きをそのままクルマにしたかのような夢も希望もないカタチですし、重心の高さに起因する走行性能の低さも気になります。どうせ買うのであれば、スタイリッシュで、質の高い走りを楽しめるヨーロッパ製ステーションワゴンをチョイスしたいです。子どもたちがもう少し大きくなったら、おじいちゃん、おばあちゃんも乗せ、家族7人でご飯を食べに行ったり、温泉旅行とかに行きたいです。スタイルがよく、走行性能も高いクルマで、なおかつ、その気になれば7人乗れるヨーロッパ製ステーションワゴンを探してください。

 プジョーと聞いた瞬間に、しなやかなサスペンションやスタイリッシュなエクステリア・デザインのことをイメージする方が多いと思いますが、ウレシイことにプジョーの魅力はそれだけではありません。というのも、スタイリッシュなハッチバックと共に優れたスペース・ユーティリティを誇るSWシリーズもラインナップされているからです。この、SWシリーズならではの室内空間の広さ、使い勝手のよさも、プジョーを語る際に忘れることができない魅力のひとつとなっています。
 2007年にデビューした308(=Bセグメントに属している207よりも車格が大きいので、Cセグメントにカテゴライズされる)にも『SW』が用意されています。ちなみに、308SWは“追加設定”されるかたちで2008年に登場しました。プジョーの他モデルと同じようにハッチバックと基本コンポーネンツを共用しており、室内空間の広さ、使い勝手のよさに加え、優れた動力性能も“標準装備”しているわけです。308SWは、1台で様々な要望に応えられるクルマといえるでしょう。ちなみに、308SWは308のハッチバックよりも全長で225mm、全高で45mmほど大きく、ホイールベースは100mmほど伸ばされています。車重は140kg増しとなります。

 308のハッチバック比で全高がわずか45mmしか大きくなっていないことからも分かるように、プジョーは308SWの室内空間を拡げる際に闇雲に背を高くするような安易なことはしませんでした。つまり、308SWにおいてもプジョーならではといえる洗練されたエクステリア・デザインを楽しめるといえ、持ち前のスタイリッシュさが健在なのです。
 室内空間の広さ、使い勝手のよさ、優れた動力性能、そして、スタイリッシュさがすべて備わっている308SWは、カッコいいファミリーカーを探している世のお父さんにとって、まさにベスト・チョイスだといえるでしょう。
 先代モデルに当たる307SWは2列目のシート(全部で3脚ある)の真ん中が狭く、エマージェンシー的なものでしたが、308SWはボディサイズが大きくなった恩恵で2列目のシートがすべて同じサイズになりました。Cさんファミリーは、この春に新しい家族を迎え入れるわけですが、308SWは室内空間が広く、しかもシートアレンジが多彩なので、2列目のシートをうまく配置することによってチャイルドシートを横向き方向で簡単に載せることができると思います(2列目/3列目のシートは女性でも簡単に脱着できます)。
 また、2列目のシートを3列目に持っていって308SWを4シーター化し、リムジン的な使い方をするといったことも楽しめます。ユーザーのイマジネーション次第で様々な使い方ができる308SWは、一台のクルマと長く付き合いたい方にお勧めの一台です。
 認定中古車の相場は4段AT仕様が185〜200万円前後、6段AT仕様(2010年7月以降のモデル)が230万円前後といった具合なので、予算や使い方に応じて最良の一台をチョイスするといいでしょう。

 プジョー 308SW プレミアム
 ●全長×全幅×全高:4515×1820×1560mm
 ●車両重量:1500kg
 ●エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ 1598cc
 ●最高出力:156ps/6000rpm
 ●最大トルク:24.5kgm/3500rpm
 ●ホイールベース:2710mm
 ●燃費:11.4km/L(10・15モード)
 ●トレッド前/後:1530/1525mm
 ●変速機:フロアMTモード付6段AT
 ●駆動方式:前輪駆動
 ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
 ●タイヤサイズ:205/55R16

取材車両
プジョー 308SW プレミアム
2010年式/走行1.4万km/アルミナム・グレー/検2013.11
車両価格:210万円

ナゼ コンパクト?